墨荘堂ブログ

鍼灸による出産後の骨盤調整

 分娩の最終段階で左右の坐骨結節が広がるのは、仙骨が前傾(うなずき運動)し、坐骨結節が広がるからです。これによって骨盤内の臓器も下垂し出産も促進されるわけです。

 本来は出産後それらの位置関係は元に戻るのですが、分娩時のトラブルなどでひどい場合は臓器が開口部の方へ下垂したまま体外に出てしまう臓器脱がおきます。また軽い場合は骨盤の違和感などが生じる場合もあります。

今回は出産後の骨盤の違和感を打鍼によって調整した例です。

 昨今はマタニティ整体などの名称で、特化した施術を見かけるようになりましたが、このような調整は鍼灸でも打鍼によって行うことができます。それはもともと打鍼が産婆や按腹の技術と同じところから発生してきたためです。

 2か月ほど前に予定日当日に出産された患者さんで、陣痛が来てから2時間半ほどで生まれ、安産だったそうです。産後しばらくしてから、仙骨のまん中が痛み違和感があるということで、立位のまま腹部で仙骨が調整される位置を探ると、水道の付近に反応がありそこに金鍼で浅く打鍼をし、念のため腹力の低い左側の維道、五枢付近に刺さない振動だけの打鍼をし、大転子付近にも金鍼で浅く打鍼をしました。

治療が終わって立っていただくと、「痛みは無くなりました。」ということで終了いたしました。

2017-10-22 | Posted in 墨荘堂ブログ, 治験報告No Comments » 

 

妊娠中の咳と副鼻腔炎

第二子を妊娠し、元々喘息があったが、5か月め位から咳がひどくなり、咳をすると尿が漏れるという状況でした。医師からは妊娠しているので、咳止めは出せないと言われたので来院されました。

6か月に入って、副鼻腔炎から鼻水が黄色く、頬の辺りが痛いということでしたので、安胎の灸(三陰交)に加えて頬の細絡からの刺絡や喘咳点を使用しました。

4診目には朝まで起きずに眠れるようになり、5診目には咳も治まってきて、夜中も目が覚めずに眠れたということでした。

その後逆子の治療を1回行い、予定日ちょうどに本番の陣痛が始まってから2時間半で3,242kgの男の子を無事に出産されました。

2017-09-26 | Posted in 墨荘堂ブログ, 治験報告No Comments » 

 

首の治療では改善しないめまいの鍼灸治療

 めまいは西洋医学的には耳から生じるめまい(メニエール病、前庭神経炎、突発性難聴、聴神経腫瘍など)や脳から生じるめまい(脳卒中(脳梗塞、脳出血)、椎骨脳底動脈循環不全、てんかん、良性発作性頭位変換性めまい)がほとんどなので、通常は凝っている首の筋肉を緩めたり、頭部の循環を改善すれば良くなります。

 老人に多い起立性低血圧によるめまいは別の原因ですが、稀に心因性のめまいの方がおりこのような方は、首中心の治療では良くなりません。また、このような方は全身が華奢で首も細く、あまり強い刺激を加えられるとだるくなったりする方が多いようです。

 以下の症例の方は、立っているとふらつくということで最初来院されました。

 初診時に脈診をすると「心」が弱かった(この傾向は以降も同じです)ため、董氏鍼方の通関、通山などを使いました。これでめまいはしなくなったということでしたので、その日は終了しましたが、1ヶ月後に「動いている時は起きないが、自宅でソファなどで休んでいるとフラフラし始める」と言われて再度来院されました。

 以降は無分流打鍼と董氏鍼方の其黄、名黄、天黄、正会などを使い、全2回で安静時のめまいもなくなりましたので治療終了としました。

2017-02-11 | Posted in 治験報告No Comments » 

 

ハイリスク妊娠の鍼灸による妊娠管理

  ハイリスク妊娠の合併症には様々なものがありますが、今回ご紹介するのは緑内障です。当初は緑内障が確定したということで、緑内障の治療を始めていました。眼圧は13~14、左に若干の視野狭窄があり、目が疲れると頭痛がするという状態でした。

  1か月後に妊娠が判明し、眼科医から妊娠が進行すると目の状態が悪くなるかもしれないということで、諸々相談した結果、目の治療と妊娠管理を同時にしていきましょうということになりました。

  妊娠管理の具体的方法は、井穴刺絡による循環の維持と三陰交の施灸をメインにして、つわりや逆子はその都度対応しました。つわりは董氏鍼法で2回ほど、逆子はそれほどでもなかったため、1回で解消しています。心配されていた眼の治療は、攢竹の刺絡と眼球灸で対応しました。治療間隔は月1回のペースで8回ほどでした。

以下許可を頂きましたので、ご本人のメールを紹介いたします。

ご報告

  予定日をちょうど2週間前倒し、◯月/29朝に2252gの男の子を出産しました。母子共に健康です。◯月/28の23:00頃におしるしがあり、軽い生理痛のようなものが断続的にありました。夜半にかけて痛みが強くなり、間隔も10分を切っていたので、◯月/29早朝5:30に入院しました。

入院時は子宮口3cm、子供の頭はかなり下がっていたそうです。陣痛室で2時間ほど過ごす間に7cm→最大になったかと思われます。

  どうしても出したい感じが我慢できず、7:30に分娩台に乗り、7:40に2回程度のいきみで産まれてしまいました。子供が小さめというのもあると思いますが、助産師さんが驚くほどのスピード出産でした。会陰の傷も小さく、体力もそれほど消耗せず、安産だったと思います。

  定期的に関先生に診ていただいたお陰だと思います。本当にありがとうございます。最後に眼のことですが、このような経過でしたので、そもそも目に負担もかかってない気がします。視野についても出産前となんら変わりなく保っています。

2017-01-10 | Posted in 治験報告No Comments » 

 

鍼灸で行う骨格矯正とは

骨格矯正鍼とは大阪の新城三六先生が提唱されている方法で、なんと先生は鍼灸学校1年生の時に校内学術発表会で発表したというのだから驚きです。

 患者さんはアロマが精神的疲労回復。カイロは骨格矯正。鍼は肩凝りや腰痛、と目的別に治療を選択しているのかもしれませんが、ほとんどの事が鍼でも可能です。カイロプラクティックや多くの手技療法の治療理論は、「捻れや屈曲している筋肉・腱を調整することによって臓器も整える」ことですから、捻れや屈曲を調整できるツボがあれば同じことができるわけです。

 具体的なやり方は、新城先生の『人体惑星試論奥義書』に書かれていますので、ぜひ読んでみてください。

この時の生理学的経過は「知覚神経が脳に刺激を伝達し、脳の姿勢調節作用中枢に働き、異常を感じた脳が、神経伝達経路を使って骨格の歪みを整える。」ということで説明されます。この時使用する二つのツボの内の一つは、変動システムで最も現れることの多い心包・三焦システムに使われているツボとほぼ一緒なので、臓器との関連性も納得できます。

 鍼をすると臓器が動き出したとか、血液が巡るようになったなどの感想を言われることが多いですが、本当に正しい場所に打った鍼は3秒で効果が出てきますから、あまり目的を決めつけずにまずは体験してみることをお勧めします。

2016-12-30 | Posted in 墨荘堂ブログNo Comments » 

 

副鼻腔炎(後鼻漏の初期)の鍼灸治療

声楽家で明日オーディションがあるが、鼻声をなんとかして欲しいと来院。

元々アレルギー性鼻炎があるが、4日前から風邪を引き、熱が出た後、痰や咳がひどく、鼻の奥が重く鼻声が治らない。鼻が詰まっているけれども鼻水は出ない。時々喉の奥の方に流れる感じがするとのことでした。

副鼻腔炎の炎症を取るために顔面の細絡から刺絡をして、董氏鍼方の足駟馬、分金、馬金水、百会から防労への透刺などを追加使用しました。

終了後に声を出してもらうと鼻声はすっかりなくなり、高音がよく響いていました。声楽家は体が楽器であるというのを実感させられました。それと後鼻漏の患者さんの方は初期の症状がこのような感じのことが多いので、早い段階から鍼灸を選択していただくと、治りも早いと思われます。

2016-10-25 | Posted in 治験報告No Comments » 

 

側頭部と耳のつまり感の鍼灸治療

 来院される8か月ほど前に家具に頭をぶつけ、3か月後に歯科で口を開けていたら側頭部と耳のつまり感がひどくなり来院されました。

 普段は整体に通っていて、その先生が全ては骨盤の歪みによっているという考え方で、施術してもらうと一時的に良くなるがまた戻ってしまうということ、骨盤以外を見てもらえないということでした。

 システムは奇経かと思いましたが心包・三焦で、どう考えても頭をぶつけた時の瘀血のようなものが、耳~頸にあるのが明白でしたので、翳風や聴会などを主に、首の周りから刺絡をした後に心包・三焦システムを調整しました。

 結局この一回で側頭部と耳のつまり感は無くなってしまい、これで終了としました。整体と鍼による経絡の疎通は似たようなことをやっているようですが、流れを邪魔する瘀血のようなものは取り除くことが治癒を早めると思います。

2016-09-20 | Posted in 治験報告No Comments » 

 

難聴とヘルペスの鍼灸治療

静かなところでは聞き取れるが、雑踏の中にいると低音の耳鳴りがしてよく聞こえないということで来院。来院される前数週間はかなり忙しく、「耳鼻科では感音性難聴と診断された。疲れていて夜中に目が覚める。耳は飛行機に乗っている時のように詰まっている感じが抜けない。」ということでした。

 診断するとシステムは奇経でしたが、「詰まっている感じが抜けない」ということでしたので、突発性難聴の可能性もあると思い、初診時は聴会などを主に首の周りなどを治療しました。

4日後に「3日ぐらいは良かったが、戻ってしまい前よりも悪い。あと、右の目頭にヘルペスが出来てこめかみから側頭部がピリピリする」ということでした。

 診断するとやはりシステムは公孫・後谿、内関・申脈の奇経で変わらずだったので、今回はヘルペスもありましたので、打鍼と、攢竹、翳風の刺絡、そして董氏奇穴として、火硬、花骨1を使いました。加えて脈で気になっていた腎経の腎関、復溜、京門、腎兪にがっちり施灸しました。

 治療中から症状は軽減していて、終了後もわずかに残っているということでしたが、あえてこれ以上の刺激は加えずに終了としました。

さらに4日後また来院されましたが、難聴もヘルペスも症状もなくスカッとしているということでしたので、これで治療を終了としました。

2016-08-17 | Posted in 墨荘堂ブログ, 治験報告No Comments » 

 

好酸球性副鼻腔炎の鍼灸治療

好酸球性副鼻腔炎は、両側の鼻の中に多発性の鼻茸ができ、手術をしてもすぐに再発する難治性の慢性副鼻腔炎と言われています。ステロイドを内服すると軽快する特徴がありますが、ステロイドを長期間服用することは避けた方が良いとされているので、難治という訳です。

 はっきりした原因はわかっていませんが、最近になり鼻、気管、肺すべてに関連する全身性の呼吸器疾患であり、鼻だけの病気ではないのではないかと考えらえています。こういう疾患は西洋医学は苦戦することが多いですね。 

 難治というのはあくまで西洋医学から見た視点での考えですから、伝統医学で難治でないことは十分に考えられます。

【症例】

 8年前に手術したが再発し、黄色の膿が出て、匂いが感じられない。X年10月に来院。X年2月の検査では好酸球数が11.1(正常値は0〜6.0)最初は炎症を取るために顔面の細絡から刺絡、他は打鍼で対応。2回目から重い感じが減りスッキリする。5診まで同様の治療。
 炎症が落ちついてきたため6診からは打鍼と董氏奇穴の足駟馬、分金、馬金水などを追加使用しています。
 好酸球数はX+1年2月以降は6台で推移しているため、症状が現れた時だけ治療しています。

  このように難治という名前がつくと暗い気持ちになりますが、伝統医学では必ずしもそうでないものもたくさんありますので、本当の意味でのセカンドオピニオンを探していただきたいと思います。

2016-06-24 | Posted in 治験報告No Comments » 

 

不妊治療の本当の問題点

 先日放送されていたNHKプロフェッショナル仕事の流儀の再放送は、コウノドリのモデルになった産婦人科医の荻田和秀先生の話でしたが、色々と考えさせられることが多いと思いました。

 番組の最後に、脳梗塞の妊婦さんから赤ちゃんを帝王切開して出血の危険の中で母子ともに救ったエピソードは、荻田先生の職人技が光っていて、番組の最後を飾るにふさわしいものでした。

 放送自体は個人の専門性を取り上げているので、何の問題も無いのですが、こういう昔気質の先生が活躍しなければならない背景には、体外受精ありきの安易な不妊治療が増えているからと思わざるを得ません。番組のケースの方も4年間の不妊治療の後に妊娠したと言っていました。

 このような場合、西洋医学では時間がかなり経過しているので、直接の因果関係は無いと考えるのでしょうが、伝統医学ではそもそも受精し難いというところに根本原因があると考えます。体外受精でそこをクリアしてもそのしわ寄せが周産期のリスクを高めているように感じます。

 妊娠してからの治療も薬が十分に使えないため苦労があることが示されていましたが、鍼灸では薬を使わないので、問題があまり起きません。つわりや逆子妊娠中の風邪などで鍼灸が効果を上げているのもそのような理由です。もちろん医師の管理下で行うことが前提ですが、ぜひ鍼灸も選択肢の一つとして検討してみてください。

不妊治療の症例はこちら

妊娠管理の方法はこちら(更新しました)

2016-06-17 | Posted in 治験報告No Comments » 

 

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