墨荘堂ブログ

鍼灸によるマラソンの事前ケア

このエントリーは、鍼灸の古典的手法を使った、東京マラソンの事前ケアに関する内容です。
妻の友人が10倍の難関を突破して、東京マラソンにエントリーするというので、ぜひ事前に疲れを軽減する鍼をやらせて下さいとお願いしたところ、了解して頂いたので、来院してもらいました。
事前にいつものコンディションを聞いたところ、左膝の内側が痛むのと、大腿の前面が痛むということでした。七星鍼法の理論によれば大腿前面の痛みは、骨盤の歪みを検出して矯正してから次の治療を行うとあるので、骨格矯正鍼が必要かなと期待して検査したところ、左右差がなかったので、骨盤矯正は行いませんでした。
脈は心包虚と脾虚があったので心包査穴と脾査穴に置鍼して、走ると痛みが出る左膝の内側側副靭帯を活法で矯正し、ハムストリングスを鍼で緩めておきました。最後に師匠が脛下と呼んでいるツボ(七星鍼法では胃木穴)と陰谷の上方、浮郄の外上方にチタン粒を貼って終了しました。
翌日終了後にメールを頂きましたので、許可を頂き、掲載させて頂きます。
今日は本当にありがとうございました。
処置して頂いた左ヒザは全く痛くなりませんでした。いつもは5km過ぎには痛くなってたのに、さすがです。モモは全体筋肉痛ですが、前にフルマラソンを走った時より普通に歩けますよ。階段が降りれるのにビックリでした。
何だか不思議な感じです。
フルマラソンを4時間台で走れる方なので、鍼灸や整体も経験済みだと思うのですが、30分位で終わってますので、不思議な感じなのでしょうか?
世にはスポーツ鍼灸なるものがありますが、古典的にアプローチしている人は少ないかもしれません。わざわざ違う名称にしなくとも古典的な治療でも十分対応出来ることをアピールしたかったので、ちょうど良い機会を与えて頂きました。
以前は膝に関する症状は結構時間がかかっていたのですが、腱の矯正を使うようになってから短時間で処理できるようになりました。この方法は事後の疲労などもすぐ緩和できますので、お試しあれ。
2015-10-02 | Posted in 治験報告No Comments » 

 

鼠径部の痛みの鍼灸治療ー経筋治療のコツー

先日見えた患者さんの話。この患者さんはいわゆる健康管理で行っている方で、先日はたまたま朝から右の鼠径部が痛く、歩き始めや過度に屈曲すると痛むということでした。

痛む場所を詳しく尋ねると、上前腸骨棘の辺りで、ツボでは髀関と言うツボの辺りでした。仰向けで診察して、他にどこか痛む場所はないですか?と尋ねてみると、同じ右側の二番目の足の指も痛いということでした。(この瞬間に、これはラッキーと思わず小躍りしました。こういうヤツは絶対逃してはけません!)
そこでもう少し詳しく辺りを探っていくと、内庭穴よりやや上方と、その内側(母指側)が痛いということでした。そこで痛む部分二カ所にせんねん灸をしました。
位置的にはせんねん灸の台座がくっつく位の間隔といえば解りやすいでしょうか。一壮終わると、外側(内庭穴の上)が感じないと言われるので、もう一壮して俯せになってもらうと、「あれ?痛くありません」とのこと。

俯せの治療を終わって起きて動かして頂くと、ひとしきり膝を上げ下げして、「もう全然大丈夫です。さっきまでの痛みはなんだったんでしょうか?」まあそうですよね。

同業者の方は良くお分かりでしょうが、この症例では経筋治療を使っています。某大学の教授は滎穴を使っていますが、ツボは限定せずに、経筋沿いの痛む部分を丹念に探すのが、コツです。特に足の陽明経筋は第4指の方まで流注していますので、その辺りをお忘れなく。
翌日連絡があり、「あれから鼠径部はまったく痛みません」とのこと。(実は明日連絡くださいと頼んでおきました。)
『黄帝内経』にある本来の経筋治療は火鍼を使いますが、お灸でも良いと思います。最近のトレンドでは間違いなく打鍼を使いますね。打鍼で腹部を整えると、当然骨盤の負担も減りこの症例のようなものは解決してしまうことが多いです。ポイントは意斎流や印流にも記載がある細キ筋の扱い方ですが、これはまた打鍼の記事で触れたいと思います。

 

2015-09-28 | Posted in 治験報告No Comments » 

 

TVCMに注意!葛根湯と銀翹散

急に寒くなり風邪を引きやすい季節になったせいか、テレビでも風邪薬のCMを良く見かけるようになりました。
 いつから販売していたか判らないのですが、最近では薬局でも処方箋なしに銀翹散(ぎんぎょうさん)が買えるようになったのですね。以前は日本で売っていなかったので、中国に行った時に「銀翹解毒片」を大量に買ってきたりしていたので、これはすごく良い事なのですが、テレビCMの症状説明はちと問題がある様な気がするので、お知らせしておきます。
 風邪の初期に飲む薬は季節によって侵入する邪気が異なるため、冬は葛根湯、夏は銀翹散と憶えておくと判りやすいです。
 銀翹散は、中国の清の時代の『温病条弁』という温病の解説書に記載されている漢方薬で、風熱の邪が病気の原因です。それに対し冬の風邪は寒さによる風寒の邪が病気の原因で傷寒と呼ばれます。チャングムにも出てきていましたよね。
 ちなみに「江戸時代は鎖国をしていたため、中国で最新の「温病」の考えが入らなかった。」という解説を見かけますが、江戸時代でも中神琴渓の『温病論国字解』や荻野元凱の『温病余論』や森立之の『温病論剳記』など多数の解説書があり、温病の考えが入らなかったなどという事はありません。
 温病の症状は発熱・わずかに悪風・悪寒し、無汗あるいは汗がすっきり出ない・頭痛・口渇・咳嗽・咽痛・咽の発赤・舌の尖端や周辺が紅色、舌苔が薄白あるいは薄黄・脈が浮数などで、一般の方に解りやすい鑑別方法は咽の痛み、舌の尖端や周辺が紅色、風寒が頸の付け根辺りに感じるような身体痛がみられないのが特徴です。
 また温病は短期間で熱感に移行するため、現代のインフルエンザのような流行性ウイルス感染症に当たると考える人もいます。このため抗ウイルス作用の強い「銀翹散」というレッテルが貼られて、夏に多い風熱の邪に関する条文は無視されていく訳です。(もちろん冬でも風熱の邪が無い訳ではないし、銀翹散に抗ウイルス作用が強いのも事実です。)
 以前に漢方薬の副作用が問題になった事がありましたが、あれは誤治であって副作用ではありません。薬局でもよほど勉強していない限りは、メーカーのプロパーの言いなりですから自分の症状は自分で判断する方が良いでしょう。
 葛根湯も銀翹散も代表的な方剤であり、効果があるので、いつも持っていておかしいと思ったらすぐに飲めるようしておく事が、風邪を悪化させないコツです。これが出来るところがエキス剤の便利なところです。
最後にもう一度目標を書いておきますので、参考にして下さい。
葛根湯:ゾワゾワしたり、寒け強く、頸の付け根や肩が強ばる、身体痛あり
銀翹散:熱感が強い、咽の痛み、舌の尖端や周辺が紅色、口が渇く
インフルエンザワクチンを打たない派、打てない派の鍼灸による健康管理術はこちら
2015-09-25 | Posted in 墨荘堂ブログNo Comments » 

 

インフルエンザワクチンは打たない派の健康管理術

子宮頸がんワクチンの騒動が起きて、ワクチンそのものに関する疑問も医療関係者から出されるようになり、素人としてはその情報に翻弄されているこの頃です。推進派、否定派どちらの意見も間違っているわけではないと思いますが、少なくとも薬が飲めないタイプの方が居るように、ワクチンを接種すると体調が悪化する人には現実的な方法が提示されなければならないと思います。

そこでこのような方には、もともと予防(養生)という思想を持つ伝統医学を活用していただければと思います。漢方・鍼灸・整体を含む伝統医学は最初から養生・未病という概念が確立していて、病名(原因)がわからないと治療が始められない西洋医学とは一線を画しています。

では、どうすればワクチンと同じような効果が期待できるのかといえば、様々なメディアで発信されているように、免疫力強化です。

伝統医学では体のバランスを整えたり、循環がスムーズに行われていれば病気にならないという考えがありますので、このような思想を実践すれば免疫力も強化されることになります。

具体的には以下の三つの方法が考えられます。

まず始めに、毎日マッサージ、整体、鍼灸などをして日々のストレスなどをその日のうちに解消する。
しかしこれは時間とお金に余裕が有る、アラブの王族のような人でないと、現実には実行不可能です。

次に1〜2ヶ月に一度治療を受け、インフルエンザや風邪で体調が崩れ始めたら、すぐに集中的に治療する。これが一番おすすめです。

三番目は体調が変化したら、すぐに治療を開始する。

三番目は費用も安く当たり前のようなことですが、現実には風邪をひいて伝統医学で治療をする人はほとんどいないため、かなりハードルは高いと思います。

しかし平素から薬が飲めない、妊娠中であると言った方達は、選択肢の一つとしてぜひ覚えておいていただきたいです。

このような予防を実践していると普段から抗生物質を飲むことが減ってきますので、いざという時に薬がとてもよく効きます。西洋医学の薬は本来このように使われるべきなのではないでしょうか?

以上三つの方法、あなたならどれを選択されますか?

2015-09-19 | Posted in 墨荘堂ブログNo Comments » 

 

ホルモン補充療法(HRT)ガイドラインの読み方

ホルモン補充療法のガイドラインが作成されていることを知りましたので、それについて、40年以上この療法をやり続けた人を見てきた感想を一言述べたいと思います。

今回の治療指針ではアメリカで公表された臨床試験の結果を踏まえて、禁忌症例や慎重投与例を明記しています。

HRT推進派の先生達は「副作用を恐れて本当に必要とする人も使用を避けるようになった」とか「HRTのリスクは塩分の多いスナック菓子や喫煙が健康に与える影響よりずっと小さい」などと指摘しているようですが、リスクが皆無なら禁忌症例や慎重投与例を明記する必要すらない訳ですから、やはり明記された意味は考えるべきでしょう。

ちなみに禁忌症例は、重度の肝疾患・乳癌とかつて乳癌だった人・子宮体癌、低悪性度子宮内膜間質肉腫・原因不明の子宮出血・妊娠が疑われる場合・急性血栓性静脈炎または血栓塞栓症とかつてその病気だった人・冠動脈疾患だった人・脳卒中だった人だそうです。

伝統医学の場合は個人の体質を重要視しますが、西洋医学ではあまり重視されません。

HRTの最大の問題点は、減ってゆくホルモンを補充し続けなければならないことで、私の母親もそうでしたが、元気でいる間は打ち続けないとその「薬切れ感」がかなりきついことです。また、事前にホルモン量の検査など、個人の体質を十分に吟味してくれる病院を選ぶことがポイントでしょう。

鍼灸治療では針を打ってホルモンの分泌を促進させる補助は可能ですが、いずれは無くなる時がくるわけですから、ホルモンを必要としない身体に早く慣れさせることを念頭において治療をデザインします。その後の人生を考えたとき、どちらの方がより自然だと思いますか?(以前の記事を改変)

2015-09-18 | Posted in 治験報告No Comments » 

 

足底筋膜炎と言われた足の違和感

36歳女性。右足に違和感や痛みがあり、腰も痛く、まっすぐ立っていられない。整形外科(接骨院?)では足底筋膜炎と言われた。舞台があるので、まっすぐ立てるようにしてほしいと来院。

脈は左寸口、右関上の虚。システムは奇経の異常。頸肩と共に腰、脚、右足底を手技で調整。その後鍼は太衝、合谷→通里、陥谷で数分置鍼。

起きて確認していただくと、主訴は全て解消していたので、これで終了しました。

下肢の不具合は鍼をほとんど使わずに調整できるので、お困りの場合はご相談ください。

活法、刺絡、打鍼で体幹のブロックを除いてから、疎通経絡を行うと良い感じです。

2015-09-12 | Posted in 治験報告No Comments » 

 

HPリニューアルしました

HPをリニューアルしました。

過去の症例とのリンクは徐々に整えていく予定ですので、表示がおかしい場合はしばらくお待ちいただけますようお願いいたします。

今回のリニューアルはK先生にご紹介いただいた、デザイナーの大倉芙美子さんにご尽力していただきました。色々とありがとうございました。

大倉さんのサイトはこちら

http://ameblo.jp/farmysroom/

2015-09-08 | Posted in 墨荘堂ブログNo Comments » 

 

症候別索引

治験録のコンテンツ一覧となります。随時更新致します。

 

首肩、上肢の疾患
 肩甲間部と背中のつまり 1 2

 

下肢の疾患

 

腰・臀部の疾患

 

腹部の疾患

 

全身性の疾患
 不定愁訴 1 2
 アトピー性皮膚炎 1 2

 

婦人科疾患

 

その他

 

食養法

 

2015-09-08 | Posted in 治験報告, 症候別索引No Comments » 

 

粘液性の後鼻漏の鍼灸治療

粘度が低い後鼻漏(鼻水が咽に回ってしまう症候)は漢方薬が著効するという論文もあり、そのとおりだと思いますが、粘液性の鼻や喉にこびりつくものはなかなか厄介なようです。
この症例の患者さんも30年程前から花粉症になり、2年前の花粉症が終わる頃から鼻水が喉に激しく流れるようになり、後鼻漏だと自覚したそうです。
耳鼻科でも蓄膿ではなく鼻水も見られないし、声帯も綺麗と言われたそうですが、毎日流れ続けていたそうです。
その後粘膜一本注射で治すという耳鼻科に行き、先ず一カ所注射しましたが、一ヶ月経っても変わらず、副鼻腔に肥厚はあるが副鼻腔には注射も出来ないと言われ、しばらく様子を見るようにとの事でしたが、結局流れは止まらなかったそうです。
その後ひょうたん水、Bスポット療法、鼻うがい、ネブライザー、漢方薬などで、花粉症も鼻づまりや目のかゆみ以外はほとんど無くなったそうですが、以前より粘度の高い液体がやはり流れているというのが初めて来院された時の状態でした。
他の症状としては常に喉に引っかかっている状態で息苦しく、仰向けで寝れない、朝には激しく咳き込まないと溜まった痰が出て来ないなどを訴えておられました。
後鼻漏の治療は胃腸の水毒を除く事と、鼻~喉の炎症を自分で鎮められるように、気血を疎通することにつきると思います。
そこで胃腸の治療と頸肩の調整(後鼻漏のひとはC5~TH4の間に問題がある事が多いため)と顔面の細絡刺絡を行いました。
後鼻漏の患者さんを見ていると、どうも外部からの処置をやりすぎている事が、治癒を長引かせているように思えてなりません。
従来の処置に比べ細絡刺絡のすごい所は、外部からのアプローチが難しい副鼻腔も炎症になり循環が悪くなれば、必ず近くの表面にバイパスを作るという理屈によって、表面から処置が出来るという所です。
ただし自分で炎症を鎮めなければならないので、効果が現れるのには時間がかかります。
この方も2ヶ月くらいしてまず、夜が寝られる様になってきて、6ヶ月で胃腸が良くなってきてようやく不快感が6~7くらい(来院時の不快感を10とする)になりました。
最近は時々4~5くらいの時もあり、仰向けで寝れるようになってきたそうです。また、さらに近々の報告では、左を下しても眠れる、朝の咳き込みも減少、粘度はあるが喉に流れる量も減っている、ということで、日常の生活では気にならなくなってきているということでした。
ストレスが掛かると胃腸が悪くなることはあるためまだ完治するには時間がかかりそうですが、方向は間違っていないので後は時間の問題です。
1~2回で変化が無いとあきらめてしまう人がいますが、この患者さんも気長に治療してもらえたからこその結果ですので、患者さんも覚悟して臨んで頂きたいと思います。(加筆修正)
2015-09-08 | Posted in 治験報告No Comments » 

 

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