鍼灸による姙娠管理と逆子の灸

 逆子の灸は色々なところに取り上げられていて有名ですが、以前に産婦人科に勤務していた時のことを書いておきます。

 逆子の灸は足の小指にある至陰というツボにするのですが、8ヶ月くらいの患者さんに医師に超音波で確認してもらいながら灸をやってみたことがあります。その時は灸をしたその場で回旋していました。

 通常、臍帯巻絡(さいたいけんらく)といって、へその緒が巻きついている赤ちゃん以外はすぐに回旋することが多いようです。10人以上やりましたが、4~5回以内の治療で回旋する人が多かったように記憶しています。

 また、妊娠中も安産のために三陰交というツボにお灸をすえる方法もお勧めです。この方法は『女性の一生と漢方』という名著に書かれていて、胎盤が安定する5ヶ月くらいから始めて出産まで徐々に増やしていきます。この本の著者の石野先生は「30年もやっているが一度も副作用と思えるものを見たことがない」とか「母体のためだけでなく、生まれてくる子供にも著しい効果が見られる」と書かれています。この方法で4~5人の妊婦さんを管理してみたことがあるのですが、皆、安産だった記憶があります。

 最近では体外受精により根本的に妊娠継続の準備ができていない人が受精という関門を越えてしまうので、周産期になって脳梗塞や高血圧など、薬を通常のように使えないケースが増えていますが、そのような方にも刺絡や鍼灸により、胎児にも安全な治療法が数多くあります。もちろん難しいケースの方は安定期に入ってからすぐ始めた方が効果がありますし、安産につながります。

 近年、産婦人科が激減して助産師さんで出産される方が増えているようですが、そう言う方向をめざしている自己管理のできる方には、ぜひ試していただきたいです

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