鍼灸で顔面神経麻痺を短期間に治すには

顔面神経麻痺はヘルペスウィルスの感染が原因のハント症候群によるものがあり、西洋医学では難聴や顔面麻痺は後遺症として残るケースもあるため、早期の治療が望ましいとして抗ウイルス薬、ステロイド薬の服用や点滴注射を行うことがあります。

 この患者さんは、某都内大手私立病院でハント症候群の顔面神経麻痺と診断され、入院してステロイドの治療をしましょうと言われたのですが、ステロイドはあまり使いたくないということで入院せず、鍼灸で治療を希望され来院されました。

 後太陽、翳風、頬車、豊隆、陽白、下関、地倉、承漿などのツボを使い、5回ほどで前額部に皺がよるようになり、兎眼や頬の麻痺もなくなり、口に空気をためても漏れなくなり、治療を終了しました。以後再発はありません。大学病院系の鍼灸治療でもこれらのツボに置鍼15分などという治療をしているようですが、これでは治療期間の短縮は望めません。ツボの組み合わせや関連する経絡にエネルギーを供給するシステムの調整などを併用すると治療期間を短縮できますが、それには古典を臨床に使用するためのノウハウが必要です。

paralysis01

後から考えると耳痛や耳の周囲の水疱を記録していないので、ハント症候群ではなかったかもしれないのですが、以前に何ヶ月もステロイドを使われてから顔面神経麻痺で来院された方などは、今回のようにすぐには改善しませんでした。これが第2のポイントです。

 最初の方のように明確にステロイドを拒否される方は別ですが、初診時の病院で適切な東洋医学的対処があれば、患者さんの負担も軽くなるとつくづく感じた次第です。

関連記事