アトピー性皮膚炎の鍼灸治療

今回の患者さんは鍼灸学校の学生さんです。ということでいろいろな鍼を試した結果報告も兼ねています(笑)

筋肉質なのですが、元々体は弱く、のぼせ、手足の冷え、下痢等があったそうです。今でも汗をかきやすかったり、体や眼の疲れ、きちんとした睡眠がとれない等があります。

 
初診時に背中の硬結が厥陰兪の辺りから肝兪辺りまであったため、長鍼を使いたい旨を予告しておいたのですが、今回診察すると硬結の左右差が顕著だったので、右側の膈兪から腰に向かって5寸20番を使い、つまり感のある霊台付近は督脉上を下から上に向かって2寸8番で水平刺しました。これで治療後には左右のバランスも良くなり、つまり感もとりあえず解消しました。
 
アトピーは肘内側、臍下、左胸部、前頸部、膝などに出ていて、前回は鑱鍼のみを使用したのですが、刺絡の方がかゆみが治まるとの事で、一番ひどかった左の肘内側のみ刺絡する事にしました。というのも膝や右の内側の見た目は鎮まっているようにみえたので、鑱鍼にして、刺絡と比較しようという事になりました。(さすが学生さん、研究熱心です)
 
その他関元、太衝、肝兪、脾兪、命門などに灸しています。一番力の無い関元に自宅でお灸をするように初診時に勧めたのですが、きちんと続けていて、続けているとやっぱり体調が違うと言っていました。
 
3診では睡眠が良くなり、前回ここのみ刺絡した左の肘内側は、かゆさが我慢できるようになってきました。
 
4診では督脉の方が奥が深い感じがするとのことで、督脉上に水平刺していたのを、身柱下の多壮灸に切り替えました。
 
7診では左右の後頚部に新たにアトピーが出て来ましたが、最初からある肘内側、膝、はほぼ良くなり、臍下、左胸部、前頸部も発赤が減少している状態でした。
 
このころはアトピー部は鑱鍼しか使用していません。
 
8診~10診では身柱下の椎間はつまっていたのが、スペースが出て来ており、背中の硬結も減少してきました。
 
13診では背中の硬結の左右差が無くなって来たため、長鍼を終了し、2寸8番での水平刺としました。左胸部、前頸部のアトピーは消失しており、臍下もかさぶたが減少して、色素沈着のみとなってきました。ab01
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7診で新たに出て来た後頚部のアトピーも発赤やザラザラしたものが減り、皮膚も次第に薄くなりかさぶたとなって、さらに落ち着いて来ている状態です。

すでに無くなってしまった肘内側、左胸部、前頸部のアトピーも写真があれば比較出来たのですが、残念ながら撮るのを忘れてしまいました。

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