ホルモン補充療法(HRT)ガイドラインの読み方
ホルモン補充療法のガイドラインが作成されていることを知りましたので、それについて、40年以上この療法をやり続けた人を見てきた感想を一言述べたいと思います。
今回の治療指針ではアメリカで公表された臨床試験の結果を踏まえて、禁忌症例や慎重投与例を明記しています。
HRT推進派の先生達は「副作用を恐れて本当に必要とする人も使用を避けるようになった」とか「HRTのリスクは塩分の多いスナック菓子や喫煙が健康に与える影響よりずっと小さい」などと指摘しているようですが、リスクが皆無なら禁忌症例や慎重投与例を明記する必要すらない訳ですから、やはり明記された意味は考えるべきでしょう。
ちなみに禁忌症例は、重度の肝疾患・乳癌とかつて乳癌だった人・子宮体癌、低悪性度子宮内膜間質肉腫・原因不明の子宮出血・妊娠が疑われる場合・急性血栓性静脈炎または血栓塞栓症とかつてその病気だった人・冠動脈疾患だった人・脳卒中だった人だそうです。
伝統医学の場合は個人の体質を重要視しますが、西洋医学ではあまり重視されません。
HRTの最大の問題点は、減ってゆくホルモンを補充し続けなければならないことで、私の母親もそうでしたが、元気でいる間は打ち続けないとその「薬切れ感」がかなりきついことです。また、事前にホルモン量の検査など、個人の体質を十分に吟味してくれる病院を選ぶことがポイントでしょう。
鍼灸治療では針を打ってホルモンの分泌を促進させる補助は可能ですが、いずれは無くなる時がくるわけですから、ホルモンを必要としない身体に早く慣れさせることを念頭において治療をデザインします。その後の人生を考えたとき、どちらの方がより自然だと思いますか?(以前の記事を改変)