鼠径部の痛みの鍼灸治療ー経筋治療のコツー

先日見えた患者さんの話。この患者さんはいわゆる健康管理で行っている方で、先日はたまたま朝から右の鼠径部が痛く、歩き始めや過度に屈曲すると痛むということでした。

痛む場所を詳しく尋ねると、上前腸骨棘の辺りで、ツボでは髀関と言うツボの辺りでした。仰向けで診察して、他にどこか痛む場所はないですか?と尋ねてみると、同じ右側の二番目の足の指も痛いということでした。(この瞬間に、これはラッキーと思わず小躍りしました。こういうヤツは絶対逃してはけません!)
そこでもう少し詳しく辺りを探っていくと、内庭穴よりやや上方と、その内側(母指側)が痛いということでした。そこで痛む部分二カ所にせんねん灸をしました。
位置的にはせんねん灸の台座がくっつく位の間隔といえば解りやすいでしょうか。一壮終わると、外側(内庭穴の上)が感じないと言われるので、もう一壮して俯せになってもらうと、「あれ?痛くありません」とのこと。

俯せの治療を終わって起きて動かして頂くと、ひとしきり膝を上げ下げして、「もう全然大丈夫です。さっきまでの痛みはなんだったんでしょうか?」まあそうですよね。

同業者の方は良くお分かりでしょうが、この症例では経筋治療を使っています。某大学の教授は滎穴を使っていますが、ツボは限定せずに、経筋沿いの痛む部分を丹念に探すのが、コツです。特に足の陽明経筋は第4指の方まで流注していますので、その辺りをお忘れなく。
翌日連絡があり、「あれから鼠径部はまったく痛みません」とのこと。(実は明日連絡くださいと頼んでおきました。)
『黄帝内経』にある本来の経筋治療は火鍼を使いますが、お灸でも良いと思います。最近のトレンドでは間違いなく打鍼を使いますね。打鍼で腹部を整えると、当然骨盤の負担も減りこの症例のようなものは解決してしまうことが多いです。ポイントは意斎流や印流にも記載がある細キ筋の扱い方ですが、これはまた打鍼の記事で触れたいと思います。

 

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