不妊、逆子など妊娠中の症状

あえて婦人科を強調する理由

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江戸時代までの病気の治療は伝統医学だけで行っていましたので、漢方、鍼灸の治療はそれぞれの中に内科、循環器科、眼科、耳鼻科、婦人科、産科などを含んでいました。医師が内科などの様に標榜して開業する様になったのは、西洋医学が導入されてからのお話です。伝統医学の場合、○○科の様に標榜する必要もないのですが、あえて産科・婦人科を強調したいのは理由があります。
プロフィールを見ていただいてお気づきの方もおられるでしょうが、私の両親は産婦人科の医師で、平成15年ごろまで築地の近くで開業していました。当初は手術をバンバンやっていた様ですが、高度成長も終わって女性が仕事を持つようになると産科も需要がなくなり、現在のような婦人科主体の症状が増えてきました。母は早くからこのような症状には手術や薬ではなく、伝統医学が有効だと気付いていたようで、笹川良一が肝入りで台湾から招聘した先生に付いて70年ごろから勉強をしていました。この先生の講義を受けたことが私がこの世界に入った理由です。

不妊治療の根本にある問題

日本の生殖医療は世界でもトップレベルだと思いますが、何よりも体外授精の安定した結果が、イメージをよくしていると思えます。ただこの信頼性が根本的な問題をぼやかしている様に思えてなりません。いくら体外授精で成功しても着床しなかったら成功率は下がります。着床するようにホルモン剤で子宮の状態を調整してもそれは付け焼刃ではないでしょうか?
伝統医学で妊娠・出産した例を考えると、子宮に着床できる状態が整うと自然に生理や排卵も整って来るように思います。子宮を畑に例えることがありますが、現代のようなストレスの多い社会で、生体にダメージを残さずに個人の状態をオーダーメイドにリセットできる治療は、伝統医学しかありません。

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症例1

5月に8月頃子供をつくりたいと来院されました。手足の冷え、足のむくみがひどく、足、肩、腕に細絡(毛細血管の浮腫)が多く出ていました。最初はストレスの減少と冷え、むくみを目標に肝経、腎経を整える治療をしました。
4診目で冷えや内出血が気にならなくなり、下痢も減りました。6診目(同年12月)で生理が来ない時があったが、着床せず、この頃から打鍼と董氏奇穴を追加しました。7診後妊娠して、実家に戻り出産されました。

症例2

体外授精は3回行っているが、着床しない。やはり手足、腹部、腰部の冷えと手足のむくみがありました。9月に次回の体外授精を行うので、成功率が上がるようにしたいという要望でした(8月来院)。董氏奇穴と脾経、腎経を調整し、自宅でお灸をしていただきました。6診後に妊娠反応あり、着床しました。

症例3

肩こりがひどく、ポリープのため子宮に機能性出血があると、他の鍼灸院から紹介されて来院。やはり足が冷え、足のむくみがありました。まず肩こりと肝経、腎経を整える治療からはじめました。
15診目(5月来院、同年10月頃)で不正出血が治まってくる。24診目で董氏奇穴を加え、ストレス対策のため顔の美容鍼を加えました。26診目くらいから基礎体温表の曲線が改善し始め、33診後、妊娠。
この方は助産院で出産を希望されていたので、引き続き妊娠管理も鍼灸を併用して行いました。妊娠後つわりや腰痛がありましたが、いずれも1回の治療で落ち着きました。妊娠中は月1回婦人科の検診に合わせて診療しています。8ヶ月目で逆子になったので、逆子の治療を行い、翌日には正常位に戻ったそうです。2ヶ月後33××︎gで出産。初産でしたがかなり安産だったそうです。

私の妻は和装師(着物の着付けをする仕事)をしており、私の母親から腹帯( さらし布の帯、岩田帯)を巻く方法も習っているので、ご希望の方はその指導もできます。