鍼灸による出産後の骨盤調整

 分娩の最終段階で左右の坐骨結節が広がるのは、仙骨が前傾(うなずき運動)し、坐骨結節が広がるからです。これによって骨盤内の臓器も下垂し出産も促進されるわけです。

 本来は出産後それらの位置関係は元に戻るのですが、分娩時のトラブルなどでひどい場合は臓器が開口部の方へ下垂したまま体外に出てしまう臓器脱がおきます。また軽い場合は骨盤の違和感などが生じる場合もあります。

今回は出産後の骨盤の違和感を打鍼によって調整した例です。

 昨今はマタニティ整体などの名称で、特化した施術を見かけるようになりましたが、このような調整は鍼灸でも打鍼によって行うことができます。それはもともと打鍼が産婆や按腹の技術と同じところから発生してきたためです。

 2か月ほど前に予定日当日に出産された患者さんで、陣痛が来てから2時間半ほどで生まれ、安産だったそうです。産後しばらくしてから、仙骨のまん中が痛み違和感があるということで、立位のまま腹部で仙骨が調整される位置を探ると、水道の付近に反応がありそこに金鍼で浅く打鍼をし、念のため腹力の低い左側の維道、五枢付近に刺さない振動だけの打鍼をし、大転子付近にも金鍼で浅く打鍼をしました。

治療が終わって立っていただくと、「痛みは無くなりました。」ということで終了いたしました。

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