目や鼻の病気

首から上の不快な症状(目や鼻などの症状)を改善する

西洋医学では頭部の病気は眼科、耳鼻科、脳外科、口腔外科などのように各科に分類されて相互の関連はあまり追求されずに、縦割りの診療が行われることが多いです。伝統医学的には頭部の循環確保が第一で、首肩を柔らかくして頭にある余分な血液を体に戻すことが大事です。様々な症状を引き起こしている血管は細かいものが多く手術も難しいですが、鍼灸では独自の方法でこれらにアプローチ出来ます。

症例1

重度の蓄膿症の患者さんで、頭痛・頭重・鼻づまり・副鼻腔付近の鈍痛がひどく一向に改善しないので、手術することになったのですが、手術の全日に症状がひどくなり、痛みで顔もあげられない状態で来院されました。

顔を見せて頂くと頬部に非常に良い細絡があったため、やってみることにしました。細絡とは内部の循環が悪いところで、体表面に現れる静脈のバイパスのようなもので、この細絡を対象にする刺絡は日本独自のもので中国でもやっていませんし、最近の刺絡治療をうたっている人たちも伝統医学をベースにしていない方々は対象にしません。

そこで頬部あった細絡を三稜鍼で刺すと、待ってましたとばかりに出血し、ガーゼ2枚分くらい出てようやく止血しました。(細絡刺絡は表面の微細な血管を対象にするので、ほとんど傷は残りません)終わると頭痛・頭重・鼻づまりはすっかりとれて顔も上げられるようになり、ありがとうございましたと帰宅されました。

その後別の用件で来院されたおり、手術はどうでしたと尋ねたところ、「あの後すっかり症状が無くなってしまい、手術はキャンセルしました。その後も鼻の症状はありません。」とのことでした。

症例2

この患者さんは、某都内大手私立病院でハント症候群の顔面神経麻痺と診断され、入院してステロイドの治療をしましょうと言われたのですが、ステロイドはあまり使いたくないということで入院せず、鍼灸で治療を希望され来院されました。

後太陽、翳風、頬車、豊隆、陽白、下関、地倉、承漿などのツボを使い、5回ほどの治療で前額部に皺がよるようになり、兎眼や頬の麻痺もなくなり、口に空気をためても漏れなくなり、治療を終了しました。以後再発はありません。
以前に何ヶ月もステロイドを使われてから顔面神経麻痺で来院された方などは、今回のようにすぐには改善しませんでした。この方のように明確にステロイドを拒否されて初期から鍼灸で対応できると、治癒も早いです。

症例3

飛蚊症、右眼に7〜8mmの点が5〜6個見える状態で来院されました。この方は高血圧、糖尿、痛風など色々な病気をお持ちでしたので、腎経別、肝経別、脾経別などを主に顔面部の細絡刺絡をしたところ、2診目には2mm位のが2個程度まで減りました。その後その状態が続いたため、10診目から眼球灸10壮を加えると右上のはじの方に1個となり、16診目から董氏奇穴を加えたところ、次の回より視野の中には見えなくなり、その後は現れていません。